今求められる人材戦略 ~働く人を尊重する人材マネジメントの時代~

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  • 学習院大学
  • 経済学部 経営学科 教授
  • 守島 基博 様

「人革命」が起こっている

「人革命」が起こっている。現在、経営者や人事プロフェッショナルが、AIの進展等の技術革新やグローバル化などの経営環境の変化と並んで、細心の注意を払わないとならないのは、人の大きな変化である。人材マネジメントとは、いつの時代にも、企業経営のために必要な人材を確保し、活用することがその目的である。だが、対象となる人そのものが変化する時、これまでの考え方ややり方を変革することが必要である。実際欧米の企業はそうした動きに早くから対応し、人材マネジメントの根本思想や仕組みを変革している。

では、「人の変化」とは何なのか。具体的には意識や、価値観、行動などの変化である。デロイトミレニアル年次調査のグローバルレポート2017年版によると、ミレニアル世代(この調査では、1983~94年生まれの世代)に対して、「現在勤務する企業にどのぐらいの期間働くつもりか」を聞いたとき、世界30か国の平均では、38%が「2年以内」、24%が「2~5年間」と答えており、日本でも各々30%、23%と大きな違いはない。ちなみに、同調査の2018年版では「2年以内」が世界平均で43%、日本で37%に上昇している。様々な理由があるにせよ、組織への定着意識は確実に弱まっている。

また同調査の2016年版では、企業選択にあたって重視する要因としてミレニアル世代が挙げた要因の1位は、報酬を除いて、「適正なワークライフバランス」であり、2位の「昇進やリーダーになる機会」よりも上にくるという結果が報告されている。日本だけに限定すると、1位は同様にワークライフバランス重視であり、2位が「仕事に意義を感じること」がくる。また2018年版では、自分が働く企業を選択する際に重視する項目として、わが国では、50%が「健康増進のためのプログラムとインセンティブ」を挙げており、世界平均の33%を大きく上回っている。最後に2017年版では、「仮に選択肢があるとして、フリーランスという働き方を選択するか」という問いに対して、肯定的に答えたのは、世界平均で31%であり、日本では33%とさらに高かった。仕事選択において、自己のニーズや希望を優先させる価値観は強くなりつつある。

問題はこうした変化をどこまで真剣に捉えるかである。往々にして私たちは、こうした結果を、「今年の新入社員は〇〇タイプ」というような表現でかたづけてしまう傾向がある。だが、2025年にはわが国でミレニアル世代が労働力の半分を超えるのである。確かに年齢を重ねるにつれて、一定の変化もありえるだろうが、近い将来には、企業を評価する重要な基準として、自己のニーズや希望を優先させ、企業がそれに応えてくれない場合、他に移ったり、起業を選択したりする価値観をもった労働者が大半となる可能性があるという認識はもつべきだろう。

 

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