今求められる人材戦略 ~働く人を尊重する人材マネジメントの時代~

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  • 学習院大学
  • 経済学部 経営学科 教授
  • 守島 基博 様

労働市場も変化している

そして、「人革命」に加えて、人材マネジメントの急速な改革を要請する労働市場内の要因も顕在化している。働く人の変化と同時に、労働市場にもいくつかの変化が起こっているのである。3点を挙げよう。第1に、AIなどの技術革新やその他の経営環境の変化が急速で、少し前の知識や経験などが役に立たなくなる「知識・経験の半減期」がどんどん短くなっていることである。結果として、企業内での育成や仕事経験の蓄積に基づいた技能形成という人材確保の考え方が通用しないタイプの仕事が急速に増え、企業にとって、新しい技術や知識をもった人材を継続的に外部から取り入れることが経営上極めて重要な課題となる。

第2に、転職のためのインフラが急速に整備されつつあることである。「ビズリーチ」等の転職サービスが進化してきたこともあり、働き手が労働市場内の自分の価値を認識し、潜在的転職先と比較できる環境が整ってきた。さらにリクルートワークス研究所の調査(2017年)によると、正社員の年収で、転職後1年目はアップした人がダウンした人を少し上回る程度だが、2年目になると10%アップが47%で10%ダウンが26%と、転職に際して年収がアップした人がダウンした人を大きく上回っている。若手を中心に、優秀で企業が必要とする知識・経験をもった人材にとって、転職という行為がキャリアアップ、労働条件アップの手段として認識され始めているのである。

そして第3が、わが国での顕著な人材不足である。背景としては、少子高齢化があるが、同時に経営者として考えなくてはならないのは、近年起こりつつある経営戦略の変化である。現在、企業の成長戦略が大きくかわるなか、新たなタイプの人材へのニーズが増えている。AI技術者や、企業変革やM&Aの専門家等、これまでわが国で育成されてこなかった種類の人材がひどく不足している。

 

 

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