「患者さんのため」が、製薬業界の未来を変える

  • アステラス製薬株式会社
  • 上席執行役員 経営管理・コンプライアンス担当(CAO&CECO)、人事機能長(Head of Human Resources)
  • 櫻井 文昭 様

山之内製薬と藤沢薬品工業の合併によって、2005年に誕生したアステラス製薬株式会社。「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」という経営理念のもと、得意とする疾患領域において、いまだ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ、いわゆるアンメットメディカルニーズが高い疾患に対する革新的な医薬品を創出することで競争優位を築いてきました。いまや、売り上げの7割を海外が占めるというグローバル製薬企業としての存在感を示す同社は、2015年に新ビジョンを発表し、疾患領域という従来の切り口にとどまらず、科学の進歩による疾患の原因の解明や、治療手段・基盤技術など多面的な視点で絞り込んだ分野に経営資源を投下する「Focus Areaアプローチ」に舵を切りました。戦略の変化に合わせ、事業の成長を加速させるための組織改革にも着手しています。改革を推し進めてきた櫻井文昭氏が見据える同社の未来について、ビズリーチ代表取締役社長の南壮一郎が伺いました。
(所属・役職等は取材時点のものとなります)

アステラス製薬株式会社 上席執行役員 経営管理・コンプライアンス担当(CAO&CECO)、  人事機能長(Head of Human Resources)
櫻井 文昭 様

株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 南 壮一郎

「患者さんに貢献する」という、揺るがぬ価値観で成長を加速

南:山之内製薬と藤沢薬品工業の合併から約15年経過されたかと思います。当時、合併交渉を担当されていた櫻井さんの目には、今の姿はどのようにうつっていらっしゃいますか。

櫻井氏(以下、櫻井):東京を拠点にする山之内製薬と、大阪を拠点とする藤沢薬品工業の合併ということもあり、カルチャーフィットを一番懸念していました。そんななか当社がここまでこられたのは、両社の根底に共通の「新薬で患者さんに貢献したい」という思いがあったからだと思っています。

アステラス発足時から、私たちが大切にしてきた価値観があります。それが、「患者さんのためになる決断か」「アステラス製薬がやるべきことなのか」「ステークホルダーに説明がつくことかどうか」、この3つです。なかでも、「患者さんのためにわれわれが存在する」という視点は、特に大切にしています。

南:2015年に、新たな経営ビジョンを掲げていらっしゃいますよね。その策定にあたっても、患者さんにどう貢献するかという視点が軸にあったのでしょうか。

櫻井:そうですね。2005年の合併以降、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」という経営理念の下、当社が得意とする疾患領域で競争優位を築くというビジネスモデルで事業を行ってまいりました。実際に、このモデルのもと幾つもの画期的な製品が生まれました。その一方で、既存品を超えるものが生まれにくくなっても、なお同じ領域に固執し、新たな挑戦が阻まれるという状況に陥らないかと懸念していました。イノベーションを継続的に生み出しアステラスが今後も持続的成長を遂げるには、次なるビジネスモデルへ進化が必要となったのです。

そこで、2015年に「新VISION」を発表し、疾患領域という従来の切り口にとどまらず、科学の進歩による疾患の原因の解明や、治療手段・基盤技術など多面的な視点で絞り込んだ分野に経営資源を投下しアンメットメディカルニーズの高い疾患に革新的な医薬品の創出を目指す「Focus Areaアプローチ」に基づく戦略に舵を切りました。

Focus Areaアプローチによる研究開発推進の一例として、疾患の原因や治癒と密接に関連する「再生」の仕組みに注目し、「細胞医療」という治療手段を組み合わせ、眼科疾患領域での研究開発を進めています。その一部は既に開発段階に入っています。今後は、さらに再生と細胞医療を組み合わせたアプローチを眼科疾患以外にも展開していこうとしています。このようにFocus Areaアプローチは、一つの成功を多くの成果に派生させることができるビジネスモデルであると考えています。

南:得意とする疾患領域での新薬の開発にとどまらず、多角的な視点から患者さんのためになることを考え、取り組んでいらっしゃるのですね。

櫻井:そうですね。さらに、これまでの「Rx」と呼ばれる医療用医薬品事業にとどまらず、そこで培った私たちの強みと異分野の技術を融合させて新たな医療ソリューションの創出を目指しています。「Rx+(アールエックスプラス)プログラムへの挑戦」として、現在、様々な取り組みを進めています。

その一環として、医薬品の周辺まで視野を広げた事業投資も行っています。たとえば、大手エンターテインメント企業のバンダイナムコ様とのコラボレーションにより、ゲーム感覚でセルフメディケーションを進めることができるプログラムの開発に取り組んでいます。他にも、ある特殊な物質を体内に入れることで、手術中に特定の器官の位置を把握できるようにする、といった光イメージング技術を応用した精密手術ガイドの開発も進めています。婦人科系疾患の手術では、尿管が非常に難しい位置にあり、傷つけないように施術しなくてはなりません。その際に、尿管の位置が光イメージング技術によって一目でわかれば、手術の成功率向上に寄与し、手術時間の短縮にもつながり、患者さんの負担軽減や、よりスムーズな術後回復に貢献することができます。

南:業界の枠を超えた取り組みはとても革新的ですね。従来の創薬を超えて、患者さんや医療現場のニーズに対し、これまでにないソリューションを見つけていくという仕事は、難易度が高いものの、社会に大変インパクトを与える仕事だと考えます。

 

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