2年間の「労働環境改革」を経て、全社員のさらなる成長へ

(株)電通 対談写真01
  • 株式会社電通
  • 執行役員 コーポレート・ブランディング・オフィサー
  • 大内 智重子 様

コミュニケーションを軸に統合的なソリューションを提供し続ける株式会社電通。国に関わるプロジェクトなど、スケールの大きい仕事を多数抱えているため、社員が非常に多忙である印象を持つ人も多いと思います。しかし、実は近年、社員が働きやすい会社へと急激に生まれ変わりつつあります。電通は今、どのように変化しているのでしょうか。株式会社ビズリーチの代表取締役社長である南壮一郎が、電通のコーポレート・ブランディング・オフィサーである大内智重子氏に話を伺いました。
(所属・役職等は取材時点のものとなります)

株式会社電通 執行役員 コーポレート・ブランディング・オフィサー  大内 智重子 様

株式会社ビズリーチ  代表取締役社長  南 壮一郎

「労働環境改革」で社員の成長を後押しする企業にチェンジ

 

(株)電通 対談写真02

─まず、この10年を振り返ってみて、社会や電通を取り巻く環境の変化をどのように捉えていらっしゃいますか。

大内氏(以下、大内):この10年で、私たち、そしてクライアント様を取り巻く環境は大きく変化したと思います。特に顕著なのは、デジタル化やグローバル化です。この変化のスピードはますます速くなる、と感じています。電通も「コミュニケーション会社」から、「マーケティング活動全体にコミットできる企業」へと領域を拡大していこうとしており、今も変化の途上にあります。

企業として、大きな転機は2つありました。1つ目は、2001年に東証1部に上場したことです。1部上場企業としての社会的責任が増し、コンプライアンスやガバナンスの強化が求められるようになり、あわせて社員の意識も変わりました。

2つ目は、2016年からスタートした「労働環境改革」です。電通にとって、「人」は財産です。しかし、現実的には社員個人の意識の高さや努力に依存してきたところがありました。それを、会社としてきちんと社員をサポートしていく方針に、つまり社員の成長があってこその企業としての成長、という考え方に大きく変わりましたね。

南さんにとってこの10年はどんな時間でしたか。

南:この10年間は、われわれにとってはサバイバルのような毎日であり、創業期に描いたビジョンをかなえるために、仲間たちと必死になって会社の礎を創ってきた時間でした。またビズリーチを創業した10年前はリーマンショックの直後で、経済は疲弊しており、ベンチャー企業もほとんど生まれていなかった時代でした。そんな状況のなか、未来の新しい働き方を想像しながら、インターネットを活用した企業と求職者を直接つなぐ新しい採用プラットフォームを創ろうとみんなで前進してきました。

「ダイレクトリクルーティング」という新しい採用手法を企業の皆様に唱え、どうすればお客様に価値を感じていただき、利用していただけるのか。さらには、どうやって志をともにしてくれる仲間を集め、そして事業の成長を支える組織をつくれるのか。日々悩みながら、もがき続けた10年間でした。

たくさんの壁にぶつかりながら、反省が必要なことも多々ありました。お客様にもたくさんのご迷惑をおかけして、厳しいお言葉を頂戴したこともありました。ただ10年前、マンションを改造した雑居ビルの一室で数名の仲間とスタートしてから、多くの仲間たちが集うチームへと成長できたことは、素直にうれしく思っています。また感謝の気持ちでいっぱいです。

大内:ビズリーチさんは、成長のスピードといい、世の中に与えている影響力といい、本当にすごいなと思います。ビズリーチさんは、働き方というより生き方そのものを変革されてきましたね。

南:世の中が急速に変化するなかで、転職も含め、個人が主体的にキャリアを形成していくことが価値観として一般的になってきたことは、弊社の大きな成長の支えにも、追い風にもなりました。しかし、われわれはまだ発展途上の会社であり、社会にインパクトを与えることができていません。それゆえ、これからも世の中の流れをきっちりと捉えながら、未来に向けて自らも変わり続けたいと思っています。

大内:キャリアの選択肢が増えることは良いことですね。私も、多様な経験は人を成長させる、と思いますので、「自分の成長のために違うところで働きたい」という社員がいたら応援したいです。また、電通に「戻りたい」と言う元社員を温かく受け入れられるような企業になっていく必要もあると思います。「電通なら他ではできない面白い仕事ができる」と社員や世の中のビジネスパーソンには感じていてもらいたいですし、そういう会社にしていくことが私たちの使命です。

─2019年1月に新設された、大内さんが担当されている「キャリア・デザイン局」とはどういう組織ですか。

大内:コーポレート部門にできた新しい局で、採用と育成、そして組織開発を網羅しています。

これまでは、採用、育成、組織開発はそれぞれ縦割りで行われていました。それを、採用から育成、そして組織開発まで一貫性を持たせることで、社員が成長し個々のパフォーマンスを高めるところまで引き上げる、組織全体のドライブをかけていくのがミッションです。

これだけ変化のスピードが速く、事業もグローバルになってくると、OJTだけでは成長のスピード、幅に限界があります。短期のみならず中長期視点で社員や組織の成長に投資をして、必要な学びを習得してもらう仕組みを作っていこうと考えています。

南:ちなみに、そのなかで特に注力しているのはどのようなことですか。

大内:課題はたくさんありますが、やはり「どのようにして社員に自ら学ぶ意欲を持ってもらうか」ですね。社員に学ぶ意欲が生まれないと、いくら良い制度やコンテンツがあっても後回しにされてしまいますから。また、個々人の成長に寄与する学びを提供できているか見定める必要があります。

南:人の意識を変えること、特に学ぶ習慣をつくることなどは、本当に難しそうですね。

大内:人間の脳は、変わることを嫌がるようにできているらしいです。ビズリーチさんでは、学ぶことについて何か意識して行っていらっしゃることはありますか。

南:仕事で学ぶ時間と、仕事以外で学ぶ時間の重要性について、日々社員に伝えるよう心がけています。これからの時代は、仕事は仕事の時間で成果を出しながら、「仕事以外の時間を自分に投資する」姿勢が大切になっていくと考えています。

勉強会に参加したり、読書をしたりすること。ジムで身体を鍛えたり、家族やパートナーと時間を過ごして精神を安らげたりすること。個人が、仕事以外の自分自身の時間をどう主体的に投資していくかが、個人の未来やキャリアを決めていくことになるのではないでしょうか。ですので、逆説的になってしまいますが、会社が一番やってはいけないことは、社員が自分に投資する時間を奪うことであり、そのため、会社として目指したい働き方の姿も大きく変えていきました。

 

CATEGORY

SHARE

FACE BOOK TWITTER はてな