DX企業へフルモデルチェンジの変革に挑む、富士通の人事戦略

  • 富士通株式会社
  • 理事 総務・人事本部長
  • 平松 浩樹 様

個人がオーナーシップを持って、自分の市場価値を高める時代へ

多田:最後に、人生100年時代において、個人がこれからの働き方を考えるうえでどのようなことがポイントになるか、平松さんご自身のお考えをお聞かせください。

平松:フレックスタイム制、テレワーク、副業・兼業など、働き方は多様化しています。当社でもテレワークを取り入れていますが、業務内容によっては全く出社せずに在宅で仕事をすることも可能になるでしょう。また、今社員が行っている業務も、クラウドソーシングやビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)、AIやロボットなどで外部の力を活用し、業務を合理化・効率化させていくことになると思います。

そこで大切になるのは、社員一人一人が「自分の専門性」を自覚し、それを磨き続ける意識ではないでしょうか。また、AIやロボットに代替できないスキルが「発想力」と「コミュニケーション力」だと思います。ICTを最大限活用し、さまざまな方々とのコミュニケーションやディスカッションを通じて、「自分ならでは」のスキルを伸ばし続けてほしいですね。

多田:終身雇用制度や年功序列が崩壊しつつあるなか、一人一人が「いかにして、自分の市場価値を高めていくか」を能動的に考え続けなくてはならない時代になったと感じます。この変化の背景には「事業・企業の寿命の短命化」「労働力人口の減少」「価値観の変化」などが挙げられますが、私は加えて「情報の可視化」もあると思います。

インターネットビジネスの進化やSNSの普及により、この十数年であらゆる情報がインターネット上で検索できるようになりました。転職市場においても、さまざまな転職サービスによって求人情報が可視化され、転職意欲にかかわらず、自身で簡単に求人を見つけられます。また、企業の口コミサイトやブログなどにより、企業のカルチャー・風土に関してもより詳細に知ることができる機会が増えました。

一度就職したら、その会社での自分のキャリアプランだけ考えればよかった時代は去り、さまざまな求人情報・ニュースが飛び交うなか「自分がこの会社で働く意味」を考えさせられる機会が増加しているように思います。その結果が、現在の「人材の流動化」につながっているのではないでしょうか。

企業にとっては人材の流出が進むこの流れにおいて、重要になるのは、自社で働く社員に対して、どのような価値を提供できているか、またそのことに満足してもらえているかどうかです。従業員体験を向上させることが社員の定着率向上につながりますし、それを社外にもアピールすることで、さらに自社に興味を持ってくれる方を増やす、という良いサイクルにつながるでしょう。

平松:個人がオーナーシップを持ち、社内外の多くの選択肢によって自分の市場価値を高める時代になったと感じます。企業は、これを「人材流出」というリスクとして恐れるのではなく、個々の市場価値に合った適切な給与や挑戦の機会を提供したうえで、ともに成長し合える関係を構築していくべきなのだと思います。

 

平松 浩樹 様 略歴

1989年、富士通株式会社に入社。主に営業部門の人事担当として、目標管理制度の運用、ローテーション制度、組合対応等を担当。2009年より、役員人事の担当部長として、指名報酬委員会の立ち上げに参画。2015年より営業部門の人事部長として、営業部門の働き方改革を推進。2018年より人事本部人事部長、2019年より現職。

取材・文:高橋 秀典
カメラマン:棚橋 亮
記事掲載:2020/1/23

 

CATEGORY

SHARE

FACE BOOK TWITTER はてな