CHOがCEOのコンサルタントとして活躍する世界に

カゴメ(株)対談写真03仮
  • カゴメ株式会社
  • 常務執行役員CHO(最高人事責任者)
  • 有沢 正人 様

2019年に創業120年を迎え、国内シェアNo.1のトマトケチャップや野菜果実ミックスジュースなど、常に人々に新しい食のあり方を提案し続けるカゴメ株式会社。世界各地に関連会社があり、ダイバーシティ経営を積極的に推進されています。カゴメの人事変革を導いている常務執行役員 CHO(最高人事責任者)の有沢正人氏に、今回、株式会社ビズリーチの取締役である多田洋祐が、カゴメのグローバルを含めた人事変革について話を伺いました。
(所属・役職等は取材時点のものとなります)

カゴメ株式会社 常務執行役員CHO(最高人事責任者)有沢 正人 氏

株式会社ビズリーチ 取締役 キャリアカンパニー カンパニー長 多田 洋祐

人事戦略においては社員の「市場価値」を創造することが重要である

カゴメ(株)対談写真02

─人事戦略における「これまでの10年」を伺いたいです。長年、人事に関わってこられて「これまでの10年」は大きな変化があったと思うのですが、いかがでしょうか。

有沢氏(以下、有沢):私は人事がやらないといけないことはなんら変わっていないと思っています。私が人事戦略において一貫して取り組んできたことは、「社員が自主的にキャリアを作れるようにすること」、そして「どうすれば社員の市場価値を高めることができるかを考えること」でした。社内における価値ではなく、市場価値の創造こそが、人事の仕事だと私は思っています。

社内だけなく、異なった業界でも通用する人材を育てていく。そこに変わりはありません。

ただ、周りの環境は日々、変化しています。働き方改革が叫ばれるようになり、HRテックが導入されるようになってきました。また、「不安定で先の見えない時代」など、さまざまな声も飛び交っています。そのような時代に合わせ、仕組みや制度、運用は変化させていかなければなりません。

多田:おっしゃるとおり、変化に適応していかなければ生き残っていけないという意味では「10年前から なにも変わっていない」というのが本質だと思います。現在は「人生100年時代」に突入し、労働寿命は50年から60年に延びると言われています。働く人はより一層、どこにいっても通用する力を身につけようとし、会社のミッションや事業領域が自分の価値観とマッチする会社で働きたいと考え、自分にとって良い環境を求めます。われわれビズリーチも「市場における価値」を高めたい人材が集まり、高め合える会社を作りたいですし、どの企業も社員が市場価値を高められるような人材育成に取り組みはじめることで、人材育成の競争が始まると考えています。

有沢:なかには「市場価値が高まると転職するんじゃないか」と考えている人事の方がいまだにいらっしゃいますが、私からすれば逆です。市場価値が高い人がいる会社に、市場価値の高い人が集まるのです。

そもそも、転職される方がいてもその人のキャリアを優先していただいて構わないと考えています。良い会社ほど「出身者」が大活躍しています。むしろ「さすがカゴメ出身だね」と言われる人たちを増やしたい。すると「カゴメに入社したい」と言う人が集まる、という好循環が生まれます。

多田:私は「これまでの10年」では、労働力人口の変化が印象的です。今までなら大企業が中途採用をする必要はなく、あっても欠員補充くらいでした。労働寿命も今より短かったので、新卒入社した社員を育てて定年まで勤めてくれればよかったからです。

しかし、ビジネス環境が大きく変わり、新卒採用だけでは経営が成り立たなくなってきました。今までは、大企業は募集をすれば簡単に応募が来て、選別する方が大変だったくらいです。ところが、インターネットの普及により企業の情報が可視化され、ビジネスパーソンは自身の志向に合う会社に行くように変わってきています。

新卒採用にはどの企業も頑張って取り組んでいますが、中途採用はまだまだこれからのように思います。

有沢:その意味では、カゴメは中途採用に積極的に取り組んでいます。役員も5人が中途入社です。そもそも私自身が中途入社ですしね(笑)。

自画自賛になりますが、カゴメの社員はみな素晴らしいDNAを持っています。社員はお客様に対して誠実ですし、商品に絶対の自信と愛着を持っている。みんな「カゴメLOVE」です。ところが、そうすると同質性が高くなるという問題が起こります。私は、同質性のなかでは基本的にイノベーションは生まれないと思っています。適切なコンフリクト(衝突、対立)がある程度必要です。そのため、あえてカゴメの文化とは異なる中途人材を積極的に採用するようにしています。われわれカゴメは、「トマトの会社から、野菜の会社」へと一大転換を遂げようとしています。そのキーワードは「イノベーティブ」です。

多田:イノベーティブを実現するためには中途採用が必要ということですね。

有沢:カゴメでは役員を「去年と違うことをやったか」で評価するパートがあります。同じことをやっていても意味はない、とまでは言いませんが、新たな付加価値を持ったものをどうやって世に送り出すかを考えています。重視しているのは「イノベーティブなことを行ったか」です。その起爆剤になるのが、中途で仲間になっていただく人材です。特に、従来は知見のない新しい事業分野などは、プロパー社員と中途社員が一緒に取り組む。中途社員に知識や経験、スキルを提供してもらうことでプロパー社員も新しいことを吸収できますし、中途社員はカゴメのDNAが理解できる。そこに相乗効果が生まれ、1+1が3にも4にもなる。だから、私が入社してからは従来のイメージからはカゴメらしくない人も採用するようにしているんです。

多田:有沢さんが入社される前の中途採用は、欠員補充だったのでしょうか。

有沢:そうです。中途採用は確かに行っていましたが、それほど積極的ではありませんでした。私は「社内リソースで考えるのではなく、マーケットリソースで考えましょう」とよく言っています。そもそもサクセッサー(継承者)をカゴメ外から連れてきてもいい。社内で適材適所の配置を行うのではなく、マーケットから採用してくればいいと思っています。カゴメには、業界のなかでも人材採用においてはアドバンテージがある企業になってほしいと思っているので、あえてそのようなことを言っています。

多田:経営者や役員を社外から採用しようとすると、人事制度を改変したり、社外から来た人が働きやすい社内風土や仕組みを作ったりしなければならないですよね。

有沢:はい、だから私は人事制度や仕組みを全面的に変えてきました。カゴメも私が来る前ははっきり言って年功序列が主流でした。私が入社してすぐ、会長・社長・副社長へのプレゼンテーションの冒頭で、「カゴメを一言で言うと、『スーパー・オールドファッション・ジャパニーズ・コンサバティブ・トラディショナル・カンパニー』ですね」とスピーチしました(笑)。

 

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