社員数10万人超の大企業を「伝わる」手法で変革する

  • 日本電気株式会社
  • シニアエグゼクティブ カルチャー変革本部長 兼 人材組織開発部長
  • 佐藤 千佳 様

1899年の創業時から「ベタープロダクツ・ベターサービス」をモットーに、日本を代表する電機メーカーへ成長した日本電気株式会社(以下、NEC)。情報通信技術を基幹に、個人の生活から社会インフラまで、多くの分野で社会価値の創造に取り組んでいます。今、NECで進めているのがカルチャーの変革。リードするのは、日本GE(現GEジャパン)や日本マイクロソフトで辣腕(らつわん)を振るってきた佐藤千佳氏。社員数10万人を超えるNECでの改革、また「人生100年時代」を生きるうえでの考えを、ビズリーチ取締役の多田洋祐が伺いました。
(所属・役職等は取材時点のものとなります)

日本電気株式会社 シニアエグゼクティブ カルチャー変革本部長 兼 人材組織開発部長
佐藤 千佳 様

株式会社ビズリーチ 取締役 キャリアカンパニー カンパニー長 多田洋祐

人事の変革なくして、ビジネスの変革は成立せず

多田:人事戦略に長年取り組まれてきた佐藤さんのご経験から得られた、人事が大切にするべき点を教えていただけますでしょうか。

佐藤氏(以下、佐藤):「人事はビジネスのためにある」と理解することです。ビジネスの成長のために人事領域でできることを、ベストな方法とスピードで実現するのが人事の責務です。それを果たすためには、自社ビジネスの方向を正確に理解し、人事の世界を超えた外部のトレンドを把握する必要があるでしょう。自分たち人事を「裏方である」「管理する側である」「サポートする立場である」と認識した瞬間に、人事が本来発揮すべき付加価値が下がってしまうと考えています。

「人事は社長の良きビジネスパートナーであるべき」と言われるのは今に始まったことではありませんが、その意味をより意識する時代になってきています。うれしいことに、人事の重要性は一層増してきましたね。

多田:当社も多くのお客様の人事業務を支援してきて、ここ数年は特に「事業を成長させるために人事が重要な役割を担っている」と再認識される企業が多くなっていると感じています。一方で歴史ある大企業のなかには、業務の最適化が進むなかで分業化が進み、人事の担当者があまり事業との接点が感じられないと悩まれる場面もあるようです。ビジネスサイクルの加速化が進む現代では、佐藤さんがおっしゃったように「人事はビジネスのため」と認識し直し、人事が社長や事業長のビジネスパートナーとなることの重要性が増していますね。

佐藤さんはこれまで日系企業も外資系企業もどちらも経験されていますが、何か違いは感じられましたか。

佐藤:日系か外資かの資本体制よりも、時代の変遷のほうが影響が大きいのではないでしょうか。「企業としてあるべき姿」や「競争相手」も、今はグローバルに考えていかなければならない時代ですからね。

また、社員という観点では、人材の質は磨く側である企業によって変わるので一概には言えないですが、時代に合わせた育成や成長の機会の提供などにより、まだまだ社員の力を引き出せるのではないかと考えています。人事の在り方によって社員の成長、ひいては事業成長は大きく変わるのです。時代の変革とともに領域が広がってきている人事の仕事は、やりがいが以前より大きくなり、そしてより面白くなってきています。

多田:「戦略人事」の考えですね。個人的には、2015年12月号の「Harvard Business Review(ダイヤモンド社)」に、「戦略人事」というキーワードが大々的に表紙に登場したのが今でも強く印象に残っています。そのあたりから人事に対する流れが変わったようにも感じていますが、佐藤さんが人事の転換点だったと感じたのは、いつ頃でしょうか。

佐藤:私は1996年から2011年まで日本GE(現GEジャパン)に在籍していましたが、その頃から「ビジネスリーダーの右腕」としてHRの重要性は説かれていました。その後、日本マイクロソフトで人事や評価制度などの変革に携わり、「人事の変革なくしてビジネストランスフォーメーションは成立せず」とさらに強く実感しました。そして、今まさに、その変革のど真ん中にいます(笑)。

多田:「人事の変革なくしてビジネストランスフォーメーションは成立せず」とのお言葉、とても共感します。私がビズリーチに入社したときは社員数はたったの15人でしたが、お客様の要望に応えるべく事業を拡大していくなかで、現在は約1,500人まで従業員数が増えました。急激に社員が増えていく混沌とした状態においても、企業経営での成長を実現するためには、組織構築が重要で、それを支える人事は必要不可欠です。

常に生き物のように変化する組織に対応できるよう、人事制度の刷新を幾度か行ってきました。当社のようなベンチャー企業でも人事の重要性は実感していたので、御社のように10万人を超える規模の企業では、人事の思想や仕組み一つで、事業に与えるインパクトもとても大きいのではないでしょうか。

佐藤:人事の動きによって大きく変わったという点では、近年では「人事だけではできないことも人事がオーナーシップをもって実行する」ように変化してきたことです。具体的には、他の部門やビジネスの現場を巻き込んで人事改革を進めるというものです。

多田:特にこの数年では大企業でも、人事未経験の方を人事のトップやマネジメントレイヤーにアサインする事例が増えてきました。「事業をわからずして人事はわからず」という意識だけでなく、今まさにお話しされた「他部門をいかに巻き込めるか」の力学も働いているのでしょうね。

佐藤:おっしゃるとおりですね。実はグローバルでも似た動きがあります。事業リーダーで実績を上げ、人事的なセンスがある人をトップに据えます。現在のマイクロソフトでグローバルHRのトップを務めるKathleen Hogan氏も、HRのキャリアを歩んできた方ではありません。今後はますます事業経験者が人事を牽引していく時代になるかもしれないですね。

 

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