「YATTE MINAHARE」精神で、真の日本発グローバル企業を目指す

  • サントリーホールディングス株式会社
  • ヒューマンリソース本部長/執行役員
  • 神田 秀樹 様

日本初の本格国産ウイスキーを生み出した創業者の金言「やってみなはれ」を合言葉に、ビールやウーロン茶など、日本の酒類・飲料業界に革命を起こしてきたサントリーホールディングス株式会社。現在、サントリーホールディングスのグループ会社は世界中に広がり、社員は合計約4万人にも上ります。このようななか、企業カルチャーを大切にしてきたサントリーにとって、変えたくないもの・変えるべきものとは何なのでしょうか。株式会社ビズリーチの代表取締役社長である南壮一郎が、サントリーホールディングス株式会社のヒューマンリソース本部長/執行役員である神田秀樹氏に伺いました。
(所属・役職等は取材時点のものとなります)

サントリーホールディングス株式会社 ヒューマンリソース本部長/執行役員 神田 秀樹 様

株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 南 壮一郎

「待ち」の姿勢では、出会いたい人材と出会えない

─この10年でわれわれを取り巻くビジネス環境は劇的に変化していますが、御社の人事・採用戦略はどのように変化してこられたのか、お聞かせください。

神田氏(以下、神田):HR(ヒューマンリソース本部)のあり方として大きな柱は変わっておらず、むしろ一番大切な軸は変えてはいけないと感じています。当社の人事・採用戦略では、以前から、人としての魅力や伸びしろを考慮する「ポテンシャル採用」、そして社員一人ひとりの能力開発を支援することで、イキイキと活躍してもらう「全社員タレントマネジメント」、この2つを一体とする考え方を大切にしてきました。われわれHRの担当者は歴代「サントリーは人が命」という信念を持っています。これはサントリーの2代目社長である故佐治敬三が当時の人事担当役員に言った「人材はウイスキーの原酒に通じる。いろんなタイプの原酒があってこそ、良いウイスキーができる。最初はパッとしなくても、長い時間をかけて素晴らしい原酒になっていくタイプもある。人材もそれと一緒や。一人ひとりの人材(原酒)を大切に育てるように」という、われわれは勝手に「人材原酒論」と言っていますが(笑)、その考えを大切にしています。この10年でわれわれが直面した劇的な変化のなかにおいて、さらに「人」の価値が重要になってきていると考えています。

南:急速に雇用環境が変化するなか、これからの時代を生き抜いていくうえでますます重要な信念ですね。「人」を経営の中心に据えるなか、特に採用を行う過程で大事にされているのはどのようなことなのでしょうか。

神田:当社の採用では、「人と向き合う」ことを大事にしています。たとえば新卒採用の場合、選考を希望する学生にエントリーシートを提出してもらうのですが、このエントリーシートにはフォーマットがありません。まっさらな状態のエントリーシートを前に、思う存分、自分を表現してもらいたいと考えているためです。フォーマットがあるエントリーシートと比較すると作成に時間はかかってしまいますが、熱意のある方にとっては書きごたえがあるはずです。そして、時間をかけてもらっている分、われわれも真摯に対応することを心がけ、1枚につき2人の人事担当者が必ず目を通す体制にしています。

南:新卒採用のエントリーシートの段階から、それだけ工夫と時間をかけていらっしゃるのですね。かけた労力は十分に成果で戻ってくることを信じているからだと思いますが、採用面接では何か工夫をされているのでしょうか。

神田:面接は、採用担当から始まり課長、役員と段階的に面接官を変えているのですが、通過するごとに、それまで面接を担当した社員がサポーターとして、その後の選考通過を応援するという取り組みを行っています。これは企業理解の促進にもつながりますし、選考を受けてくださった方が最終的に同じ会社の仲間にはならなかったとしても、当社を応援してくれるファンになっていただけるよう、心がけていることです。

南:まさに、人と向き合うことを大切にされ、採用活動を、会社が一体となって自社の魅力を伝えていく機会にされていらっしゃるのですね。当社が推進してきた新しい採用活動に、「ダイレクトリクルーティング」というものがありますが、これは、経営者・役員・採用担当者・社員など職務や職責に関係なく、全員が力を合わせ、自ら候補者を見つけだし、自らアプローチする仕組みです。優秀な人材を採用するには、これまでの、受け身の「待ち」の採用ではなく、企業がとれる手段を主体的に考え、能動的に実行する「攻め」の姿勢が重要だと考えています。御社の採用の姿勢には、この「ダイレクトリクルーティング」の考え方に通ずるものを感じました。

神田:そうですね、一緒に働きたい方に対して、社員が直接会社の魅力を伝える機会を作り、仲間として迎え入れることは重要だと考えています。ビジネスを取り巻く環境の変化が激しいなか、イノベーションを起こせる人材は、市場において今後ますます重要になってくるでしょう。たとえば、生産や研究の部門では、今まで当社が保有する強みの技術分野とは異なる技術分野を融合し、新しいものを生み出すことも必要になってきています。そのようなことができる優秀な人に出会いたくとも、「待ち」の姿勢ではなかなか出会えず、当社のこのような考えを知っていただくすべもありません。その点で、「ダイレクトリクルーティング」という概念は非常に有効で、今後企業が本気で取り組むべきだと感じますね。

南:変化といえば、御社は他社に先行して「働き方改革」に積極的に取り組まれていますよね。

神田:はい、テレワークやフレックス制の導入をはじめとした、ワークスタイルの革新に力を入れてきました。時間と場所の制約を取り払うことで多様な人材が活躍できる環境の整備、自律的に働き方を決める風土を醸成することはできましたが、実際の年間総労働時間はあまり短縮できていませんでした。そこで、2016年に、各部署から現場主導で具体的なアクションプランを立案してもらうという「働き方改革」を始動し、その施策のPDCAを回していった結果、一人当たりの総労働時間を年間100時間短縮することに成功しました。ワークライフバランスを実現しつつ、生産性を高めるためには、メリハリをつけて働くことが大切です。

ほかにも、「女性が活躍できる会社は長く生き残れる」という考えから、女性の活躍も推進してきました。女性の役職者の割合は、日本の製造業のなかでもトップクラスだと思います。また、ライフイベントの多い女性社員への理解の促進を目的とした、男性の意識改革に関わる施策も推進しています。お子さんが生まれたら1週間の特別休暇を取得して育児に参加するように促しているのも、施策の一環です。

南:昔から「人が命」という信念を大切にしてこられた、御社らしい取り組みですね。

神田:当社会長の佐治信忠は「サントリーに集う人はFamily」と唱えています。われわれHRも同じ気持ちで、社員全員にサントリーで働くことによって幸せになってほしいと考えています。

 

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