HR Techで生産性を高め、世界シェアNo.1を目指す

  • 東京エレクトロン株式会社
  • 人事部長
  • 土井 信人 様

半導体製造装置およびフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置を開発・製造・販売している東京エレクトロン株式会社。シェアは国内首位、世界で第3位を誇ります。売上の8割以上が海外である同社が目指すのは、「日本企業ならではのグローバル水準への挑戦」。その具体的な施策について、株式会社ビズリーチの取締役である多田洋祐が、東京エレクトロンの人事部長である土井信人氏に伺いました。
(所属・役職等は取材時点のものとなります)

東京エレクトロン株式会社 人事部長 土井 信人 様

株式会社ビズリーチ 取締役 キャリアカンパニー カンパニー長 多田 洋祐

グローバル競争に勝つために日本的な人事制度の見直しに着手

─この10年で、御社の人事制度が大きく変化したと伺いました。その背景について教えてください。

土井:アメリカの大手半導体製造装置メーカーの競合会社との経営統合計画がひとつのきっかけとなり、当社の人事制度を大きく見直す流れとなりました。当社では、以前から人事制度の見直しの議論は続けてきていたのですが、グローバルで活躍することの真の姿を体験したことで「世界で戦うためには、このままではいけない」という危機感が確信へと変わりました。あの経営統合計画がなければ、当社の人事制度は変わっていなかったかもしれません。ただ、以前にも3社ほどのM&Aを行った経験から、多様な考え方の違いを尊重しながらも、企業文化を浸透させて統一することの重要性や、会社の文化・ビジョンを理解した人材マネジメントへの見直しの必要性は実感としてありました。

多田:難しいと分かりながらも、企業文化の統一は必要だと感じたわけですね。

土井:そうですね。企業としての方針・考え方を統一し、経営資源を集中・効率化させている欧米の競合他社を見て、「同じ土壌、半導体関連という基本的に単一のビジネス領域のわれわれとしてもその力を結集し、会社としての強みを浸透させなければもったいない」と考えました。

多田:それではどのように改革をされたのですか。

土井:経営戦略とつながった採用・育成・再雇用など全体図を描き、まずは根幹となる人事の仕組みから徐々に変えていきました。

当社の売上の8割以上は海外です。グローバル競争に勝つことを目指していく中で、人事制度がバラバラのままでは、経営戦略とつながった強みを生み出していくことができないのではないか、と考えました。

例えば等級・報酬制度は、以前は能力等級制度と役割等級制度を組み合わせた制度であり、また国ごとにも考え方はバラバラでした。制度自体が悪いわけではないですが、実態として年齢や過去の実績などが評価に影響し、年功序列的な側面や若手の出世が難しい運用にもなりつつあり、人員構成や採用・育成などのいろいろな側面が関連して発生していたものでした。また、世界の人材を可視化できず、人材をみる「物差し」もそろっていない状態でした。

そこで2017年に、仕事の価値を正当に評価して社員のエンゲージメントを上げ、短期的ではなく将来の成長を目指し、人の働き方・意識を変え、人材を育成するために、職責や貢献をベースとする「職務等級制度」へとグローバルに考え方をそろえる形で変更し、それと連動して報酬制度・評価制度・退職金制度など人事制度全体をすべてつながるように変更を行いました。

多田:御社のようにグローバルで戦うには、社員が能力を最大限発揮できる環境作りが重要ですね。各業界のリーディングカンパニーの人事の方とお会いしていても、変わる必要があると気づいた企業から、続々と制度を見直し始めている印象です。

従来の制度を変える際、他の社員にその改革を受け入れてもらう必要がありますが、その過程ではご苦労をされたのではないでしょうか。

土井:実は、今も取り組みを継続しています。2017年に等級・報酬制度の仕組みを変え、2018年には評価制度を変え、やっと制度としての一つのサイクルを1度回したところです。人事制度を変えた目的は、戦略との連動・将来の成長のためであり、それに合わせて「人の働き方・意識変革、人材の育成」をセットで考えるべきですから、制度を入れることが目的ではなく、その運用・仕組みが定着することがゴールです。そこを考えると、あと3~4年はかかるのではないかと思います。今はまず、制度全体の基本コンセプトを徹底して浸透させることを優先しています。それが結果として会社の戦略を理解し組織として一体感を持って業績の向上や企業価値の向上につなげていく近道だと考えています。

さらに、制度はできるだけシンプルにし、細かなものにはしないことを心掛けました。制度を作っていくうえで、細かく作りこんだりデジタル化したりしたくなりますが、仔細なことに注目するのではなく、制度・人事戦略はどういう考え方なのか、なぜ制度を変えたのか、経営戦略と人事制度がどのようにつながっているのかなど、その背景を理解した上長や社員の方がフレキシブルに運用する余地をもつこと、ポジティブに使いたいと思う制度にすることが、重要だと考えています。

多田:人事は本来、採用・育成・配置・評価、全てを連動させる必要があり、ひとつ変えればよいというものではありません。社員に評価制度を浸透させていくのももちろん大変でしょうし、評価以外の他の制度も運用し、全体を見ながら変化・適応させていくのは、本当に難度が高いですよね。

土井:そのとおりです。当社も、考え方のベースとしての制度構築の次の段階として、採用・育成や配置へと、ひとつずつチャレンジしているところです。当社では職種別採用を開始していますし、留学生採用・海外の大学との連携など多様な、攻めの採用を開始しています。採用から育成、配置という一連の流れを分断させず、グローバルレベルにするためのつながりを持たせる試みを進めているところです。

 

CATEGORY

SHARE

FACE BOOK TWITTER はてな